蒼き虎の伝説

Final Fantasy XI オリジナル小説 written by Lygia  
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 第1章 3人組の傭兵〜シルク・ウール・コットン


 ジュノ上層─マーブルブリッジ〜通称:限定酒場─
 この日は、モンク限定の日…普段は、戦士をメインにしている冒険者も、この日はモンクの装備を着こなして、それぞれの腕っ節を自慢するために、集まってきている。
 ジョブ限定の日の、しかも、モンク限定の日となると、この酒場の雰囲気は、かなり異質なものとなるので、酒場の雇われマスターは、ある程度の覚悟が必要であった。
 案の定、日が変わった深夜から、モンク限定の日の常連達が、既に集まってきていた。
 そんな常連の客の中に、ひときわ目立つ赤毛のガルカがいた。ウールと名乗る、その赤毛のガルカは、以前はバストゥークの共和国騎士団の大隊を率いていたこともあるという噂の主でもあった。
 そのウールのそばに、気の良さそうなミスラが座り込んで、寡黙に頷くような動作を繰り返すウールに一方的にしゃべりかけていた。話しの内容は他愛のないものではあったが、そのミスラの口元には、絶えず光を放つ白い歯…というよりも、白く尖った犬歯…あえていうなら、鋭い牙が2本、上顎から下に向かって生えているのが特徴的であった。
 牙の生えたミスラは、自らをコットンと名乗っていた…立ち居振舞いと、その身につけた装備から、すでに高レベルのモンクであることがうかがえた。
「もう、聞いてるんだか聞いてないんだか……」
「聞いてるぞ、ズヴァール城のデーモン族のことだろう」
「ほら、やっぱ聞いてないんじゃない!!」
「ん?」
 コットンは、上の空のウールの態度に、わずかな苦笑いを浮かべて、目の前のミスラントマトを絞ったミスラ風ブラディマリーの入ったグラスを口元に運び、一気に呑み干した。
「たしかに、ズヴァール城の話をしたけどさ……」
「デーモンのことじゃなかったか?」
「そのデーモンに捕らえられた囚人のことを言ってたんだけどね」
「そうか……それは、悪かった」
「もういいよ、シルクが来ないんで、あたしとの話しなんか、やってられないってんでしょ」
「ん?そういえば、あいつも遅いな」
「あいつもって…他に誰かくるの?」
 コットンは、相変わらず自分と視線を合わせないウールをまじまじと見つめた。ウールの髪というか全身を覆う体毛の赤い色には既に慣れているとはいえ、どうしても、他のガルカとは余りにも違う、ウエストが極端に絞り込まれた逆三角形の体型を見ると、そのあまりの見事さに、いつも軽いため息をつかずにはいられなかった。
 すでに、店の中には20人を越える客が押しかけていて、カウンターも冒険者同士の肩が触れ合うほど、混雑し始めていた。
 店の雇われマスターが懸念していたとおり、開店後、2時間を過ぎたあたりで、だいたいモンク同士の自慢話が盛り上がり、酒のまわりも良くなり、そうなると客どおしの諍いが起こるのが常であった。

 この日も、1人の客が大声を張り上げた。
「俺の話が信じられねぇってんなら、お前の体に叩きこんでやるから、外へ出ろ!!」
 酒場に集まるモンクたちは、あまりにも毎回起こる喧嘩騒ぎであるために、振り返ったり、仲裁に入ったりする者もいない。だいたいが、素手での殴り合いになるため、どっちかが殴り倒されて決着がつくのは、わかりきっている。もともと、喧嘩を売る方も買う方も、多少のダメージには耐えられるように、体力には自信を持っている。
「あなたに勝ち目はありませんよ^^」
 喧嘩を売られたエルヴァーンが、何事もなかったかのように酒のグラスを傾け続けている。そして、その言葉尻には、やや嘲笑めいた、喧嘩を売った相手をバカにするニュアンスが含まれていた。
「勝ち目があるかないか・・・・うぐっ」
 最後まで言葉を発することなく、激高していた男が悶絶して床にひっくり返った。
 エルヴァーンの掌底が、男の鳩尾を捕らえたのだ。
「ジュノに来た早々、騒ぎを起こしてくれるじゃないの…」
 床に体を「く」の字に曲げた男に一瞥をくれた後、なにごともなかったようにグラスを口元に運んだ男に、一人のエルヴァーンの女性が、声をかけた。
「まぁ、喧嘩を売るなら相手の力量を見て売ってほしいですね。俺は、あなたに会いに、ここに来たのですから…ずいぶん、遅かったじゃないですか?開店から、ずっと待ってたんですよ…シルク」
「遅くなったのは、とりあえず、謝るわ…ちょっと、この子と商談があってね」
 シルクと呼ばれたエルヴァーンは、そのプラチナブロンドの髪を無造作に掻き上げながら、一緒に入ってきたエルヴァーンの少年に視線を移した。
「こんな夜中に・・・・酒場に、少年を連れてくるとは…」
「誤解しないで…商談だって言ったでしょ…あ、ウールも、もう来てたんだ。待たせちゃってゴメンね」
 さきほどの赤毛のガルカが、無言で2人の間に割って入った。
「はじめまして」
 シルクと一緒に入ってきたエルヴァーンの少年が、物おじすることなく、ウールに挨拶した。
「きみが、俺達に武器を売ってくれるという商人の息子さんかい?」
 少年は、まっすぐに、ウールの眼を見つめ返した。
「武器を売るのは、父ではありません・・・この僕です」
「ほう」
 意外でもなんでもなさそうに、ウールが、そう呟いて笑った。
「まぁ、立ち話もなんだからさ、あたしたちも席につこう…でも、その前に、この伸びちゃってる男はどうしよう?あなたがやったんでしょ、なんとかしてよ」
 シルクは、喧嘩を売った男を悶絶させたエルヴァーンに向かって言った。
「それなら、問題ない」
 ウールが、床にうつ伏せている男を、ひょいと片手で拾い上げると、カウンター脇までぶら下げ、無造作に、その場に放り投げるように、身柄を移動させた。
「ここなら、客の邪魔にならんだろう」
「そうだね…さすが、ウール」
 シルクは、口元に皮肉な笑みを浮かべて言うと、ウールの横に、腰を降ろした。
 シルクと呼ばれたエルヴァーン…おそらく、エルヴァーンの種族の中では、背は高くない。先に酒場に来ていたミスラのコットンと比較しても、10cmも身長差はないように思える。しかも、エルヴァーンの最大の特徴である、先の尖った両耳の先端が、何者かに引き千切られたかのように欠けてしまっていて、さらに、やはり、これも両耳に、それぞれ二筋の裂け目が付けられている。プラチナブロンドの輝くロングのストレートヘアーから見え隠れする両耳は、知らぬ者が見たら、厳しい拷問の結果付けられたと思わずにいられないほど、痛々しい形状に見えた。
「一応、揃ったのかな?」
 それまで、声を発していなかったコットンが、テーブルについた他の4人の顔に視線を巡らせ、微笑しながら言った。
「あたしは、コットン。シルクとウールとは、ジュノに来てからの知り合いだよ。今日は慣れないモンクのカッコしてるけど…メインジョブは、赤魔道士…こんな…」
 コットンは、一度、言葉を切って、自分の上唇から下方向に伸びている発達した犬歯を、つんつん突ついてから、言葉を続けた。
「……狼みたいな牙が生えてるから、狼の牙・ウルフファングって呼ばれちゃってる。ほんとは、見たとおりのミスラなんだけどね。まぁ、狼と呼ばれるのも、好きって言えば好きなんだけど・・・呼ぶときは、普通にコットンでいいからね」
 コットンは、そこで、もう一度、言葉を切ったが、他の連中が口を開こうとしない雰囲気を、咄嗟に読み取ったのか、グラスを少し傾け、喉をうるおした後で言葉を続けた。
「それで、こっちの、でっかいガルカが、ウール。あたしは、知らなかったんだけど、バストゥークの共和国騎士の将軍だったらしい…らしいってのは、本人は、風来坊だって言い張るんでね。あたしたちは、まぁ、普通にウールって呼んでるんだけど…紅い髪の鬼・スカーレットヘアードデビルとかって、メチャ恐ろしげな呼ばれ方をしてるの。知ってる人なら、震え上がるほどの狂戦士だって…まぁ、スカーレットヘアードデビルって呼ばれてた将軍時代に、あまりにも自分勝手にやり過ぎて、クビになったって噂も聞くんだけど、この通り無口でね…肯定も否定もしないもんだから……、よく、わかんないってのが、ほんとなんだよね。」
 コットンは、そこで、さらに、もう一度、言葉を切った。
「あとは、そっちの白い髪のエルヴァーンが、シルク……あんまり自分のことは話してくれないんで、わかんないことだらけなんだけど、ギザ耳のシルク……《ブロークン・イヤー・シルク》って名前は、サンドリアじゃ、かなり有名らしいね。メインジョブは、当然、モンク。あたしと会った時は、格闘家と名乗ってたかな?モンクの格好以外は、しないという、エルヴァーンとしては、小柄でかわいらしいのに、見かけによらず頑固者なんでね。あたしと違って、下手に手を出したりしたら、秒殺されちゃうから……気をつけてね^^…って、なんで、あたしがシルクの紹介しなくちゃいけないだろ」
「まぁ、あたしのことは、みんな知ってるはずだし、ちょっと今日は、ついさっきまで寝てたので、遅れちゃったけど……」
「うん、シルクの遅刻は、今にはじまったことじゃないから……敵と戦ってる時以外は、寝てばっかりなんで今日は、シルクのオゴリってことで、手を打ってあげるね」
「ということは、普段は、戦士・モンク・赤魔道士の3人パーティなんですね」
 エルヴァーンの少年がコットンの顔を正面から見据えて、にこりともせず真顔で言った。
「そういうことになるかな?まぁ、ウールとシルクに関しては、戦闘でダメージ受ける事は、ほとんどないから、あたしが、回復魔法使う事は皆無なんだけどね。あたしも、モンクで戦う事もないことはないし」
「でも、3人パーティとしてはバランスがいい構成ですね。僕の名前はロウムといいます」
 コットンが終始、笑顔を絶やさずに話すのと対照的に、ロウムと名乗った少年は、少年らしい笑顔さえ見せなかった。
「ロウムっていうんだ?出身はサンドリア?」
「いえ、僕は、ジュノで産まれました」
「そっか……メインジョブは?」
「商人ですよ」
「商人?……そんなジョブあったっけ?」
「僕は、戦闘はしません。今日は、武器をウールさんに売ることと……それと、実は、こっちが本当の目的で……みなさんに、仕事の依頼に来たんです…」
「仕事の依頼?あたしたちの普段の報酬って…いくらくらいか知ってるの?」
 コットンたち3人は、ジュノで傭兵をやっている。難易度の高い仕事でも、確実に短時間でこなすことから、彼らに支払う報酬というのは、通常の冒険者や、他の傭兵に比べて、かなりの高額になることが多いのだ。
「報酬は……」
 ロウムは、ズボンの隠しポケットから、無造作に1つの指輪を取り出した。
「この戦士の指輪ということになります。使っていただければ、その効果を実感していただけると思うのですが……この依頼、命を落とす危険性が高いので、もちろん、報酬は、先払いです。もう、お渡ししますよ」
 ロウムが切り出した仕事の話について、すでにコットンは興味津々となり、身を乗り出して、その指輪を手に取ってみた。
「仕事の依頼は、いいが……俺のことは、まだ話していなかったよな」
 それまで、口を噤んでいたエルヴァーンの男が、唐突に唇を開いた。
「俺は、サンドリア出身…メインジョブは忍者だ。名は、オリオナエ…オリオンと呼んでくれればいい」
「トリオン?なんかうそ臭い名前ね」
 すかさず、コットンが突っ込んだ。
「オリオンだ……」
 オリオンと名乗った男は、むっとした表情になった。
「まぁ、トリオンでも、オリオンでも、ケンタウロスでもなんでもいいから……ちょっと黙っててくれる?今、大事な話……」
「コットン…」
 シルクが、コットンの名を呼んだ。
「オリオンは、あたしが呼んだんです」
「え?なんで?」
「今回の依頼……あたしたち3人では不可能なんです」

 エルヴァーンの少年ロウムは、幼い時期に商人である父を獣人との戦争で亡くしたということを最初に話してから、今回の依頼内容について、話し始めた。
「単刀直入に言えば、リムーサという召還士を一人、ズヴァール城から救出してほしいということです……」
「リムーサか……」
 ウールは、リムーサという召還士を知っていた。それは、自分がバストゥークの騎士団を率いてズヴァール城を攻めた時に出会った召還士であった。ウールは、遠い異国の地ノーグから遣わされたというリムーサと、その地で出会い、リムーサ率いる13人の特殊集団の戦いを目の当たりにしていたのである。そして、その戦いは、ウールが、バストゥーク騎士団を辞めるきっかけとなった戦闘でもあった。ナイトとして、派遣されたすべての騎士団を統括し守るべき責任者であったウールは、この戦闘で、派遣された部隊の、およそ3分の1を失い、引責辞任という形で身を引いた。
 戦闘があったのは、今から3年前…目的は達成し、ズヴァール城を統べていた獣人の頭目たちは、皆、殺されるか封印されるかして一応の収まりはついたものの、獣人たちの繁殖力と成長の速さは、著しく強く、そして早く、今では新たな頭目となった者たちが、遠いズヴァール城を根城に、かつての脅威といわれた戦力と同等の戦力を有してきたと、噂されるまでになってきていた。
「救出するのはた易いが…いいのか?」
 ウールは、不審そうにロウムに尋ねた。
「父の遺志ですから……」
 ロウムは、ぽつりと答え、口を噤んだ。
 リムーサが、捕らえられているというのは、ズヴァール城の牢獄であることをウールは知っていた。3年の間、リムーサは、ズヴァール城に囚われる事で、獣人を率いた7人の将軍を封印したのだ。『己を殺せば、7人の将軍は、すべて死ぬ事となる』という謎めいた予言を残し、ズヴァール城の牢獄に自ら身を投じたのだ。
 完全な消耗戦となった3年前のズヴァール城での戦いは、リムーサが、7人の将軍を封印し、獣人の戦力を大きく削ぎ落とした跡で、サンドリア・バストゥーク・ウィンダス、そして件のノーグの部隊を含めた連合軍サイドが、有利となった時点で終結を迎えたのである。
『わたしは、ここに残ります…これ以上、兵を失わないために、兵を引いてください』
 ノーグの代表であるリムーサの言葉を、ウールは思い出していた。
「リムーサを救出するということは、7人の将軍の封印を解くということだ。お前は、そのことを知っていて言っているのだろうな」
「無論です」
 ウールの問いかけに、ロウムは、はっきりと答えた。
「リムーサを救出し、封印から解き離たれた7人の将軍も、倒していただきたい」
 ロウムは、冷静に、そう言ってのけた。
 ウールは、押し黙った。
 酒場に居合わせた数人の冒険者が、ウール・コットン・シルク・オリオン…そして、ロウムの会話に聞き耳を立てていた。
 そう長くはない沈黙のあと、口を開いたのは、ウールでもロウムでもなくシルクだった。
「どう?ウール、やってみない?その7人の将軍とは戦ったことがあるんでしょ」
「3人でか?」
「いえ…もう少し傭兵を募りますよ。頭数で言っても、3対7では、勝負にならないし……ウールは戦った事があると言っても、わたしやコットンは、3年前の戦闘には参加してなかったですから」
 シルクは、プラチナブロンドの髪を両手で束ね、切り裂かれた二つの耳を剥き出しにして見せた。
「オークの将軍”チーフ・ストローネ”には、耳を切られた私怨もありますから……できれば、この手で八つ裂きにしてやりたいですし…封印などという生優しい環境で、生かしておくわけにはいかないですよ」
「ヤツは強いぞ……」
「あたしとどっちが?」
 シルクは、眼光鋭くウールを見つめた。
「このオリオンは使える仲間となります。彼には、忍術を心得た2人の魔道士の仲間がいるそうです」
「忍術か……」
「この場へ呼ぼうと思ったのですが、2人とも、モンクの装束は身に着けない主義なので、今は、宿屋にいます。場を改めるなら、紹介をすることはできます」
「6対7なら勝てると思うか?シルク……お前は、ヤツらの化け物じみた強さを知ってるのだろう?」
「リムーサを使います……」
「3年もの長い間、牢獄につながれていた召還士を当てにするというのか?」
「蒼き虎を召還できれば……」
「無理だろうな」
「なぜ?」
「お前が、”チーフ・ストロ−ネ”を倒したい気持ちは、痛いほどわかるつもりだ。が、俺は、リムーサを信用していないのだ」
「なぜ?」
「7人の将軍を倒すために、リムーサは12人の自分配下を生贄にして、蒼き虎を呼び出したのだよ、あの時は……。どんな理由があれ、俺は、自分の部下を生贄にすることなど、上に立つものとしてできない。あの召還術は生贄を必要とする禁断のものだ。それでも、倒すことはできず、封印するだけに留まった。7人の将軍を殺す一番の方法は、リムーサを殺す事だよ。救う事じゃない。それがわかってるからリムーサは、獣人に守ってもらうために、ズヴァール城の牢獄にいるのだ」
「それは違う……」
「何が違うというのか?俺は、あの女のやり方を、この眼で見てきた……」
「過去の7人の将軍を復活させたところで、たいした脅威ではないのです。最悪、封印を施す事で、彼らの力を抑えることが可能ですし……それよりも、新たな脅威が…新たな指導者が獣人の中に育ってきている。既に、獣人の、それら指導者達は、7人の将軍を必要としない段階まで来ていると、そういう調査結果も出ているようです」
「それで、蒼き虎を召還するために、この酒場に集まった冒険者の中から、その12人の犠牲者を募ろうというのか?」
 シルクは、押し黙った。
「その説明は、僕がしますよ」
 それまで、シルクとウールのやり取りを聞いていたロウムが言った。
「あの3年前の戦いの時、僕の父は、武器の調達係として、あの戦場に赴いていました。その時、リムーサから父に託された書簡がここにあります。そして、この書簡には、蒼き虎を召還するための適正を持った生贄の詳細が記されているのです」
「適性だと?」
「はい、確かに、あの術は、他の召還魔法と違って、12人の生贄を必要とする禁断の魔法です。でも、生贄となった者がしかるべき適性を備えていれば、術が解けたときに、生還を果たす事も不可能ではないのです」
「そんな都合のいい話が……」
「ウールさん……あの時の12人の中に、あなたの部下が2名含まれていたこと……そのことが、あの時の召還を不完全なものとしたという事実も記されています。戦いの中で失われた『適性を持ったリムーサの部下2名』の死が、蒼き虎の召還自体を不可能にしていたことは、知ってるはずです。あなたは、起死回生の策として、リムーサに、2人の部下を託し、あの術を使用させた」
「あの女は、結果がどうなるか知ってて、敢えて、あの術を使ったのだ。『呼び出すのに12個の魂が必要です』などと、いかにも、もっともらしいことを言いながら……術が解けたときは、俺の部下を含む12人の生贄は、亡骸となっていたのだ」
 特に激することもなくウールは、静かに言ったが、その言葉のニュアンスには悔恨の気持ちが含まれていることが、シルクやコットンにも伝わった。
「場所を変えましょうか?」
 ロウムは、冷静に言った。

To be continued.......
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